食品分析や検査について

これからカフェや居酒屋など、飲食店を経営しようと考えているときに、食品分析について知っておくと便利です。

食品分析をすることによって、その料理に含まれる栄養素やアレルギーの危険性を表示できるようになるため、お客様に安心安全な料理を提供できます。そこで、食品分析やその検査について解説します。なぜ、食品分析が必要なのかを知ることができます。


そもそも食品分析とは?

食品分析というのは、対象の食品にどのような栄養素が含まれているのかを調べる他に、その食品が微生物などに汚染されていないかを検査することです。

その理由は、食品の安全確保のために公衆衛生の見地から、衛生上の危害の発生を防止する必要があるからです。美味しい料理を作りお客様に提供をしても、衛生面で不衛生だったらなんの意味もないのです。例えば、本来は十分加熱しなくてはいけない食品を、生もしくは限りなく生に近い状態で提供してしまうと、食中毒が発生する危険性が高くなります。

食品衛生法では、食品に有毒な物質を含んでいたり、微生物に汚染されているものは製造や販売、輸入、調理などをしてはならないのです。ですが、見た目からその危険性を判断することは、かなり難しいことです。美しい果物であっても、その内側には病原菌を隠している可能性がありますし、外見が悪くても、健康に効果的な栄養素をたくさん持っていることもあるのです。

料理や食品を提供する側は、食品分析を忘れてはなりません。

何を検査するの?

食品分析では、様々な検査をします。まずは、対象の食品が微生物汚染されていないかどうかです。食品と一言でいっても、その種類は多種多様です。畑で栽培している野菜や果物、海で獲れる魚介類、更には牛や豚といった家畜。

それぞれ食品として使用する前には、洗浄などをしなければ、微生物で汚染されている可能性があります。そのまま食べれば、微生物の影響により体調を崩してしまうということもあるのです。では、洗浄などをおこなった食品はすべて安心なのかというと、それも違います。

例えば、加工されているものであっても、何らかの理由で汚染されている可能性があるのです。輸入品を多く扱っている店では、海外の缶詰や燻製などを料理に使用することもあります。ですが、その調理過程や流通の途中で微生物や病原菌に汚染されているということもあるのです。

また、食品の種類によっては有害物質を持っていたり、残留農薬、放射線物質が含まれていることもあります。食品分析というのは、食品の種類ごとに定められている検査をおこない、安心安全を保証するためのものなのです。

様々な分析方法

すべての食品が同じ方法で分析されているのかというと、それは違います。食品には野菜や果物、肉や魚介類の他にも様々な種類があります。これらすべてを同じ方法で調べるのには限界があります。野菜や果物の場合は、残留農薬を検査するため、一斉分析や個別分析がされます。

一斉分析というのは、1度に多くの食品を分析することができます。ですが、一斉分析ではわからないものは、より高精度な個別分析をおこないます。こうした検査により、野菜や果物の残留農薬の有無がわかるのです。肉や魚介類の場合、DNA検査をおこなうことで遺伝病もわかります。

食品表示栄養成分検査

まずは、基礎栄養成分の分析が必要です。基礎栄養成分とは、水分やたんぱく質、脂質、炭水化物、灰分、ナトリウム、エネルギーの7項目からなります。この基礎栄養成分を表示することは、食品表示法で義務づけられています。

たとえば、手作りのパンやお菓子をネットショップで販売するというときには、基礎栄養成分の表示が必要なのです。そして、この基礎栄養成分の他にも、食物繊維やビタミン、ミネラルなど更に細かい栄養素を分析することにより、よりお客様にとって有効な情報を提供できます。

食品分析というのは、料理やお菓子に使用されている食品に、どのような栄養素が含まれているかを数値化し、お客様に安心安全に食べてもらうためにも大切なのです。

(栄養成分が分かる食品分析の仕事内容や食品衛生監視員に必要なスキルなどを詳しく解説)

アレルゲン検査で健康を守る

ある特定の食べ物を食べたことにより、アレルギー症状を発症する可能性があります。健康や生命を害する恐れもあるため、料理を提供するときには表示することが大切です。消費者庁から通知された検査方法で分析し、どの食品に食物アレルギーを引き起こす特定原材料が含まれているか、その含有量を表示することによって、多くの人が安心して料理やお菓子が食べられるのです。

飲食店を経営したり、ネットショップでお菓子を販売するときには、利用者が安心して食べるために、アレルゲン検査が必要です。

産地判別検査

野菜や肉、魚介類は栄養素やアレルギー物質だけが重要ではありません。その原料がどこで作られたものなのかを表示することも必要です。原産地を分析する方法は様々ありますが、産地偽装などを見破るためには高精度の検査が求められます。

なぜ、そこまで食品の原産地を表示することが必要なのかというと、それは同じ食材であっても産地が違うことにより食感や味に違いが出るからです。ここで間違いやすいのが、輸入食品です。輸入食品の場合は、原産国名を記載します。

地域名を併記することも可能ですが、そのときには誰が見ても理解しやすい記載が大切です。産地判別検査によって、多くの人が安心安全に食べることができます。

ペットフードにも食品検査が必要

食品というのは、人間だけが食べるわけではありません。犬や猫、小動物が食べるペットフードの食品分析も必要です。ペットによっては、食品に対するアレルギーを持っている場合もあるので、その細かい分析は大切です。

平成21年6月1日からは、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」が施工されました。ペットフード中の残留農薬がどれぐらいあるのか、添加物や汚染物質についても詳しく検査されるため、飼い主は大切なペットに安全なペットフードを与えることができます。

食品分析というのは、人間だけではなくペットの健康にも大きく役立つのです。

(食品分析マニュアルとは)

食品分析の検査について

飲食店や食品を扱った仕事をするときには、食品分析が大切です。微生物の汚染や残留農薬、アレルギー物質など様々な面から食品を検査することによって、多くの人に安心安全に料理を提供できます。また、ペットフードの食品分析をすることによって、ペットの安全も守れます。

食品分析を依頼するときには、事前に検査方法などを調べて、自分に合ったものを選択するといいでしょう。