食品分析マニュアルとは

食品分析という言葉を、誰しも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。食品分析は食品の安全を確認するだけでなく、食品に含まれる栄養素や、その機能性を分析するために行われます。また、食品分析で得られたデータに基づいて、新たな食品のあり方を提案したりもしています。

食品分析で使われるマニュアルを知ることで、食品分析に対する理解を深めましょう。

(食品分析や検査について)

食品分析とは

食品分析に関する資格やマニュアルは、主に日本食品分析センターが一括して管理しています。食品分析と一口に言ってもその範囲は広く、医薬品や化粧品、さらには飼料や肥料なども食品分析の対象になっています。こうしたことから、食品分析は生活に無くてはならないものだと言えるでしょう。

食品分析の役割は、大きく三つに分けることが出来ます。まず一つ目が、食品に含まれる栄養素を分析したり、その機能性を確認するという役割です。この分析によって、食品にどのような栄養素が含まれているだとか、特定の機能を有する食品の内容について正確に把握することが出来ます。

特に加工品はパッケージに栄養成分を表示することが義務づけられているので、食品分析を欠かすことはできません。同様のことは、機能性に特化した食品にも言えます。商品で見かける「特定保健用食品」や「機能性表示食品」などの表示は、食品分析での確認をしてから表示する必要があります分析を経て効果を確認することで、顧客の信頼を得ることにもつながっていきます。

(栄養成分が分かる食品分析の仕事内容や食品衛生監視員に必要なスキルなどを詳しく解説)

食品の安全を見分ける

食品分析で二つ目に重要なのが、食品の安全を確認するための分析です。食品には栄養素だけでなく、時に健康に害を及ぼす可能性のものが含まれることがあります。さらに、アレルギーの原因となるアレルゲンの検出や、カビなどの微生物の検出、残留農薬の分析は健康に直結します。

また、最近では放射性物質の分析も重要視されるようになりました。さらに、食品分析の対象として、子どものおもちゃも含まれています。子どもは口におもちゃを入れることがあり、表面の塗装などの成分が体に害を及ぼす可能性があります。

そのため、子ども向けのおもちゃに使用する成分は、法律でその成分が制限されています。そうした子どものおもちゃに含まれる成分がどのようなものかを分析するのも、食品分析の重要な仕事です。

健康ブームを受けて、食品に含まれる油脂成分やグルテンの分析も注目を集めています。こうした成分を表示することで、消費者の購買意欲が刺激されると言われています。意外なところでは動物の飼料やペットフードも分析の対象として挙げられます。

医薬品や化粧品にも

食品分析の対象には、医薬部外品や化粧品も含まれてきます。医薬部外品は化粧品と薬品の中間に位置していて、商品のパッケージに具体的な成分や効果を表示することが出来ます。食品分析は医薬部外品の成分やその効果を医薬部外品原料規格と照らし合わせて、確認する作業を行っています。

化粧品については、添加剤やアレルゲンの有無、様々な安全試験を行うことで、人体への影響を測ることが目的になっています。食品分析で三つ目に重要なのが、分析で得られたデータをもとに、食品の安全性をより高める方策を提案したり、賞味期限を提案したり、工場の監査をしたりなど、製品の質を高めるための提案を行うことです。

食品の安全性を確保することで顧客に安心して購入してもらうことはもちろん、具体的な効果や効能をはっきりとアピールすることも出来るようになります。

このように重要な役割を担っている食品分析ですが、その分析に欠かせないのが分析マニュアルです。この分析マニュアルについて、具体的にご紹介しましょう。

食品分析のマニュアルとは

食品分析は、様々なマニュアルで支えられています。具体的には分析方法やその手順、数値の基準などが記されています。食品分析には一貫したマニュアルがあるわけではなく、個別の分野で異なるマニュアルが作成されています。

その中で最も重要なのが、文部科学省から出される「日本食品標準成分表分析マニュアル」です。この食品標準成分表分析マニュアルは改定版が出されていて、それぞれの食品が含む成分の標準値だけでなく、分析の手順そのものが提示されています。

この分析マニュアルに従って、食品分析が行われます。マニュアルに沿うことで、食品に含む具体的な成分や、その効能などを照らし合わせて表示することが出来ます。こうしたマニュアルが作成されているのは、食品分析がそれだけ重要だということが理由です。

食品分析に明確な規準を設けることで、口に入るものの栄養や安全を管理することが出来ます。規準が明確ではなくマニュアルが設けられていないと、それぞれ異なる分析方法によって結果が出されることにつながるからです。

そうなると、食品の安全や安心が根幹から揺らぐことにならざるを得ません。分析マニュアルが文部科学省から出ているのも、口に入れるものの確かな保障を確立するためです。

マニュアルの特徴

そのために、分析マニュアルには各種の利用条件が設けられています。例えば、食品分析の測定値を見極めるための手順なども、マニュアルに織り込まれています。また、成分を分析するための方法を勝手に変更することは禁じられています。

このような厳しい規定があるのも、食品分析における分析マニュアルの特徴です。さらに、食品分析のマニュアルは定期的に更新されるために、マニュアルに従うだけでは運営が難しいという問題があります。

そのため、食品分析を広く取り行っている食品分析センターでは、定期的にセミナーを開いています。

また、分析マニュアルに沿った食品分析の仕方の研修も行っています。マニュアルに沿って正確に食品分析を行うには、定期的な学習が必要になってきます。マニュアルに沿った食品分析を行うことで、食の安全や安心が支えられています。

食品分析の役割やマニュアルについて興味がある方は、ウェブサイトなどを覗いてみるのも参考になります。

(再現性のある食品分析を実施するためのマニュアル)

食品分析マニュアルは食の安全に重要

食品分析は、私たちの口にするものの安全を管理する上で欠かせない存在です。食品分析が厳しいマニュアルに従って行われるのも、安全を管理して、食品の重要性の基盤を確かなものにするためです。普段は見落としがちですが、食品分析によって生活が支えられていると言えるでしょう。

マニュアルも含めて、その役割を見直してみてはいかがでしょうか。